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お知らせ
2023.11.15
今後のビジョン
生活介護を経営してみて、もっと早期にリハビリに介入できれば未来は違う形になっていたのではと思う症例に多く出会います。ただリハビリを受けているのではなく、意味のあるリハビリを受けているのかが大事です。また、安心のために医療に依存しておられる方が多いのも見受けられます。
例えば在宅酸素療法ですが、酸素をしていても常にSPO2が88%ほどで90%以上あがらないと言われる方がおられました。その方は、酸素の流量も医師ではなくお母さんが決めていました。しかも御本人は、周りから「吸って、吸って」と言われ続けており、そもそもが適切な呼吸すら理解出来ていない状況なので、いくら酸素を流しても肺に入っていかない状態でした。酸素療法の指示はでているが、流量も呼吸も自己流で「機械をつけても酸素が上がらないんです。だから気をつけてください」と言われていました。その方をリハビリにて正しい呼吸法を指導すると、92%まで直ぐにあがりました。いくら酸素の機械をつけていても正しい使用方法や自助努力をしないと意味がありません。このように必要なのは酸素の機械ではなく、適切なリハビリではないでしょうかと感じることも多いです。医療費の自立支援はとても充実しています。でも、たくさんの方が同じように安心のためだけに医療費を使われていたら、公費にも限度があるので受けたい方が受けれなくなる場合や、費用が嵩み予算を削減される場合もあるかと思います。
いま、障害の枠に収まっていれば様々な福祉サービスが利用でき年金などの恩恵を受けられます。でも、果たしてこれが未来永劫続くでしょうか。障害者人口も増加傾向ですし、支援が受けられない障害者よりも弱者の方も増えています。これからは障害があっても支援を受けるだけではなく、支援できる立場にもならないといけません。
私は、ゆくゆくは重い障害でも社会に出て自立出来るような、皆で助け合う仕組みを作っていきたいと思っています。障害だからと支援してもらうばかりではなく、人の役に立つことが出来るような環境を整えれば、何かしら働くことが出来、自分の存在意義や自己肯定感も感じることが出来ると思います。また障害だからと働くことを諦めている方もおられますが、障害があっても「働いて税金を払って、家庭を持つ」「必ず選挙にも行き投票する」ことができれば、障害者の地位が確立できるのではないでしょうか。
今の弊社は訪問事業と生活介護・短期入所をしていますが、これをベースに今後、事業展開していくことを考えています。私は理学療法という仕事をしているから個々に違う障害者の身体機能のことを理解し、良いところを活かせる活動を支援できます。またこれを常に支えてくれている仲間がリハ、介護や看護のスタッフです。るり生活介護では、介護スタッフが生活場面で感じたことや疑問に思ったことなどをリハ職が現実化していき、看護師はリスク管理してくれている。利用者様からは職員同士仲が良い、雰囲気が家みたいで良いと言ってもらえています。利用者様の出来なかったことが出来るようになり、スタッフも一緒に喜びを感じることが出来る環境が整っています。この輪をどんどん広げていきたいと思います。
少し話が変わりますが、先程から「障害者よりも弱者」という言葉を使っていますが、実はこの方を弊社で「雇用」した経験があります。約3年ほど前、「フードバンク」から紹介されて雇用に至りました。その方が面接に来られた時の格好は、髪も伸び放題のボサボサで作業着姿、履歴書も真っ白のA4の紙に手書きでした。私以外の役員は雇用に難色を示していましたが、ここで断ったら死んでしまいそうな雰囲気があったので雇用しました。翌日には美容院に連れていき、お風呂や洗濯も職場で無料にて提供しました。食事も1食352円で提供しました。約3年間務められ、その間、介護の資格や二種免許など資格もたくさん取得されました。つい先日、独立し自営でお仕事されています。充実した福利厚生にとても感謝され「社長のお陰で人間らしくなりました」と言われていました。
この方の他にもフードバンクから数名、紹介していただきましたが、この方のように上手く雇用まで繋がりませんでした。健常者でも食べるのに困っている方はとても多いです。そこも困窮者の雇用という形で支援できるように考えています。また障害者雇用についても今は障害区分3の全盲の方を1名常勤雇用していますが、今後、もっと積極的に障害者雇用も増やしていきたいと思います。障害者事業を通して「障害者よりも弱者の雇用」や「障害者の雇用」が実現できる仕組みを作っていきたいと思います。
ある労務管理のセミナーで、「人間の究極の幸せ」は、1️⃣愛されること、2️⃣人に褒められること、3️⃣人の役に立つこと、4️⃣人に必要とされることで、2️⃣~4️⃣は社会に出てこそ得られるものです。人生の中で仕事に関わる時間は膨大で、それだけの時間を費やす以上、職場は安心して働き、自らの役割や成長が実感できる場所でなければならないという内容でした。利用者にもスタッフにも、るりで良かったと思える環境づくりをしていきたいと思います。
代表社員 木村 幸美